外国法人の日本支社設立支援/税務コンサルティングを中心とした日本進出・法人運営支援

日本拠点の設立にあたって

外国会社が日本に進出するにあたって、まず始めにしなければいけないのが日本における拠点の確保です。
製品を販売するだけであれば、拠点を持たずに販売代理店に委託することもありますが、ゆくゆく事業が拡大したときには少なからず拠点は必要になってきます。

日本における拠点は、大きく分けると通常以下の3タイプに分けられます。

・駐在員事務所
・日本支店
・日本支社(株式会社又は合同会社)

注)日本で法人を設立する場合、株式会社又は合同会社が一般的ですが、外国法人100%出資の場合は、会社設立、会社運営、税金手続及び納税の面でほとんど違いがなく、通常は株式会社での設立となります。

それぞれ仕組み、税制面、設立コストなどが異なりますので、日本に事業所を設ける目的と照らし合わせ、最適なものを選ぶことが必要です。

各拠点のメリット・デメリット

日本で事業を行うにあたり、それぞれの事業形態にはメリット、デメリットがあります。

日本駐在員事務所

メリット

  • 登記や納税申告などが不要で気軽にスタートできる。

デメリット

  • 駐在員事務所単体での契約などビジネス活動が一切できない。
  • 日本での活動について、営業活動を伴わない駐在員事務所として日本の税務署に認められるかどうかの判断が難しい。

日本支店

メリット

  • 設立の際の資本金が不要、登記に必要な登録免許税が日本法人と比べて安い、定款認証が不要なことなど設立コストの負担が軽い。
  • 取締役の変更登記(最長10年毎)が不要など設立後の維持負担が日本法人に比べて軽い。
  • 支店の損益は親会社など海外本国の所得に合算されるため、日本支店で欠損が出た場合、本国での節税効果もある。
  • 海外親会社との間で発生した共通の費用なども日本支店に配賦することが可能である。
  • 日本支店で発生した利益の海外親会社など本国への送金は原則本国でも非課税。

デメリット

  • 日本法人に比べて日本国内の金融機関からの融資が受けにくいなど社会的な信頼性が弱い。
  • 支店で発生した債務に関しては親会社である外国会社が責任を負う。
  • 会社設立時に本国法人の登記事項に関する宣誓供述書等など各種外国語の文書が必要で、それらを集めるのに手間と時間がかかる。
  • 外国会社の本国での登記事項に変更があった場合、支店がある日本国内での登記事項に変更があるかどうかなどのチェックに手間がかかる。
  • 法人税申告時には親会社の決算書を添付する必要があり、納税申告書の提出が遅れる可能性がある。
  • 親会社の資本金額が大きい場合、少額の日本支社を設立する場合に比べ地方税の均等割額が高額になる。
  • 親会社の資本金が1億円を超える場合、外形標準課税が発生して、税金が日本法人に比べて高額となる。

日本法人(株式会社・合同会社)

メリット

  • 日本国内の取引先から長期的な信用を得られ、金融機関からの借入なども他の形態と比べると容易である。但し、株式会社と合同会社を比べた場合、株式会社の形態が一般的であり、通常の事業会社は99%株式会社である。
  • 日本法人が倒産した場合、親会社の外国会社は日本法人の負債を原則負わない。

デメリット

  • 設立登記の際の費用や手続きが支店と比べて多少高額である。
  • 日本法人で欠損が出ても海外本国と合算できないため本国にとって節税効果が薄い。
  • 日本法人の利益の海外本国への送金は配当になるため原則20%の源泉徴収が行われる。
    ※ただし、外国との間で租税条約がある場合課税軽減がある。
  • 最長10年毎の取締役変更登記義務などが発生する。

日本支店・日本法人の違い

営利目的の営業活動を行うことができる日本支店と日本法人。税制面や設立に際して異なる点を表にしました。

日本支店日本法人(株式会社・合同会社)
営利目的の営業活動できる
登記の必要性必要
資本金の払込額不要1円以上~
代表取締役と取締役の選任不要
但し、日本における代表者の選任が必要※日本支店の代表者の選任は複数可能で海外在住の外国人でもなれる。ただし、その内1名は日本に居住している(住民登録がある)ことが必要である。
1名以上必要
※代表取締役の内1名は日本に居住している(住民登録がある)ことが必要である。
監査役不要選任可能
法人名の制限親会社と同じ社名で登記制限なし
法人名での銀行口座の開設できる
日本の活動で発生した利益に対する法人税の課税範囲国内源泉所得のみに課税全世界の所得に課税
会計処理会計期間は、本店と同一にする必要がある。支店損益は、本店所得との合算処理が可能。会計期間は、本店の会計期間に合わせる必要はない。 日本法人での会計処理で完結する。
本国への送金できる
本国への送金に関する課税範囲送金に関しては課税なし。配当金・利子・ロイヤリティーに対する源泉徴収課税
※通常20%。ただし租税条約による軽減措置あり
訴訟本国法人に及ぶ原則、本国法人へ及ばない
設立にかかる標準的な期間約1.5ヵ月
※親会社の公証準備等による
約1.5ヵ月
※親会社の公証準備等による
設立費用登記の税金 9万円
定款認証は不要
 登記の税金株式会社:15万円~(資本金により変動)合同会社:6万円(一律)定款認証の税金:52,500円
設立に必要な書類 (海外)本国法人の登記事項に関する宣誓供述書日本支店代表者の印鑑登録証明書日本支店登記印 (海外)本国法人の登記事項に関する宣誓供述書等日本法人の定款代表取締役の印鑑登録証明書日本法人登記印

※日本駐在員事務所は、営利目的の営業活動を行うことができず、登記の必要もない。
また、法人名で銀行口座を持つことができないため、代表者の個人口座を開設する必要がある。